食品輸入の違反物質辞典|TBHQ・クロラムフェニコール・アフラトキシン等33物質を徹底解説

この辞典について
厚生労働省の輸入食品違反事例データ(2002〜2025年・計23,690件)に記録された違反物質のうち、件数の多い主要33物質を5カテゴリーに分類し、辞典形式でまとめました。各物質の総違反件数・主要輸出国・対象食品・日本の規制・実務上の注意点を一覧で確認できます。輸入品目の検討・サプライヤー選定・試験項目設計のリファレンスとしてご活用ください。

【データ出典】厚生労働省「輸入食品の違反事例」(平成14年〜令和7年)。件数はすべて本データの集計値です。

  1. 全33物質 件数早見表
    1. 大腸菌(E.coli)・大腸菌群
    2. リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)
    3. 放射性物質(セシウム134・137)
    4. アフラトキシン(Aflatoxin B1・B2・G1・G2)
    5. クロルピリホス(Chlorpyrifos)
    6. チアメトキサム(Thiamethoxam)
    7. イミダクロプリド(Imidacloprid)
    8. 2,4-D(2,4-ジクロロフェノキシ酢酸)
    9. メタミドホス(Methamidophos)
    10. デルタメトリン・トラロメトリン(Deltamethrin)
    11. イマザリル(Imazalil)
    12. クロラムフェニコール(Chloramphenicol)
    13. エンロフロキサシン(Enrofloxacin)
    14. フラゾリドン(Furazolidone)
    15. マラカイトグリーン(Malachite Green)
    16. TBHQ(tert-ブチルヒドロキノン)
    17. サイクラミン酸(Cyclamate・チクロ)
    18. アゾルビン(Azorubine / E122)
    19. キノリンイエロー(Quinoline Yellow / E104)
    20. パテントブルーV(Patent Blue V / E131)
    21. アルミノケイ酸ナトリウム(Sodium Aluminosilicate / E554)
    22. 一酸化炭素(CO:Carbon Monoxide)
    23. メラミン(Melamine)
    24. ホウ酸(Boric Acid / Borax)
    25. 二酸化硫黄(Sulfur Dioxide)・亜硫酸塩類
    26. ソルビン酸・ソルビン酸カリウム(Sorbic Acid)
    27. 安息香酸・安息香酸ナトリウム(Benzoic Acid)
    28. アセスルファムカリウム(Acesulfame K / E950)
    29. スクラロース(Sucralose)
    30. 過酸化水素(Hydrogen Peroxide)
    31. シアン化合物(青酸配糖体)
    32. カドミウム(Cadmium)
    33. 鉛(Lead)
  2. 辞典の使い方:実務への活かし方

全33物質 件数早見表

物質名 カテゴリー 件数 主な産地 主な食品
大腸菌(E.coli) 微生物 3,567件 中国・タイ・ベトナム 水産物・加工食品
アフラトキシン カビ毒 3,345件 アメリカ・中国・インド ナッツ・穀物・スパイス
二酸化硫黄(亜硫酸塩) 使用基準不適合 1,021件 中国・タイ・ベトナム 乾燥食品・果実・水産物
ソルビン酸 使用基準不適合 523件 中国・イタリア・アメリカ 加工食品・果実・野菜
クロルピリホス 農薬 510件 中国・タイ・ガーナ 野菜・カカオ豆・ナッツ
サイクラミン酸 指定外添加物 493件 中国・台湾・ベトナム 漬け物・菓子・調味料
TBHQ 指定外添加物 482件 インド・中国・ブラジル スナック菓子・加工食品
2,4-D(除草剤) 農薬 461件 エクアドル・ベネズエラ・ガーナ カカオ豆・コーヒー豆
シアン化合物 天然毒素 361件 イタリア・ブラジル・ミャンマー バター豆・亜麻仁・キャッサバ
クロラムフェニコール 動物用医薬品 344件 ベトナム(89%)・中国 養殖エビ・イカ・乾燥水産物
鉛(器具容器包装含む) 重金属 342件 中国・ウズベキスタン・台湾 陶磁器・ホウロウ・食品
安息香酸 使用基準不適合 339件 中国・アメリカ・ベトナム ソース・漬け物・健康食品
エンロフロキサシン 動物用医薬品 328件 ベトナム(69%)・中国 養殖エビ・イカ・ウナギ
フラゾリドン 動物用医薬品 252件 ベトナム・インド・中国 養殖エビ・ウナギ・食肉
アゾルビン(E122) 指定外添加物 230件 フランス・ベルギー・イタリア 菓子・リキュール・飲料
リステリア・モノサイトゲネス 微生物 230件 イタリア(66%)・スペイン 生ハム・サラミ・チーズ
チアメトキサム 農薬 173件 中国(80%)・ミャンマー たまねぎ・ゴマ・緑豆
イミダクロプリド 農薬 157件 ガーナ・タンザニア・ブルキナファソ ゴマ・カカオ豆・野菜
カドミウム 重金属 117件 中国・ベトナム(器具主体) ホウロウ・陶磁器・器具
メタミドホス 農薬 87件 中国・メキシコ・台湾 アボカド・にんじん・白きくらげ
マラカイトグリーン 動物用医薬品 82件 中国(89%)・台湾 養殖ウナギ・水産物
パテントブルーV(E131) 指定外添加物 77件 フランス・イタリア・ベルギー チョコレート菓子・ジン
キノリンイエロー(E104) 指定外添加物 75件 フランス・イタリア・ベルギー カラー菓子・キャンディー
放射性物質(セシウム) 放射性物質 67件 フランス・イタリア・フィンランド 野生きのこ・ベリー類
アセスルファムカリウム 使用基準不適合 57件 台湾・ベトナム・中国 シロップ・タブレット菓子
デルタメトリン 農薬 50件 ガーナ・アメリカ・フランス カカオ豆・穀物
イマザリル(防カビ剤) 使用基準不適合 31件 チリ・アメリカ・オーストラリア 生鮮かんきつ類
スクラロース 使用基準不適合 26件 中国・台湾 漬け物・調味料
一酸化炭素(CO) 指定外添加物 24件 中国・インドネシア 冷凍まぐろ・ブリフィレ
過酸化水素 使用基準不適合 24件 中国・ベトナム ゼラチン・ナタデコ・フカヒレ
メラミン 指定外添加物 18件 中国(89%) 冷凍たこやき・パン生地
アルミノケイ酸ナトリウム(E554) 指定外添加物 15件 台湾・タイ 粉末ミルクティー・調味パウダー
ホウ酸 指定外添加物 14件 フランス・ドイツ 健康食品・栄養剤

🦠 カテゴリー1:微生物・放射性物質

大腸菌(E.coli)・大腸菌群

3,567件
微生物

主要輸出国中国(1,140件)・タイ(560件)・ベトナム(476件)・韓国(195件)・インドネシア(168件)
主な食品水産物(1,279件)・加工食品全般・食肉(241件)・野菜(199件)
日本の規制食品区分に応じて成分規格で「陰性」または菌数上限が設定。食品の種類・製造方法によって異なる
近年(2021〜2025)168・114・90・105・104件。減少傾向だが毎年100件前後を維持
【実務上の注意】水産物(冷凍エビ・えびフライ等)・加工食品の微生物規格は食品区分(無加熱摂取か加熱後摂取か)によって適用基準が異なる。食品区分の正確な特定が先決。

リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)

230件
微生物

主要輸出国イタリア(152件・66%)・スペイン(63件)・フランス(9件)
主な食品非加熱食肉製品(188件):サラミ67件・生ハム46件・コッパ29件等、乳製品(42件):ゴルゴンゾーラ20件・タレッジョ4件等
日本の規制非加熱食肉製品・ナチュラルチーズ:100 CFU/g以下(食品区分により「陰性」)
最大検出値310,000 CFU/g(イタリア産ゴルゴンゾーラ)。中央値約2,000 CFU/g
【重要】4℃以下の冷蔵でも増殖する。加熱では除去可能だが生ハム・チーズは非加熱食品。令和以降は命令検査なし→全件が自主検査による発見。自主検査を実施しない輸入者には発見手段がない。

放射性物質(セシウム134・137)

67件
放射性物質

主要輸出国フランス(18件)・イタリア(9件)・フィンランド(8件)・ベラルーシ(5件)・ロシア(4件)
主な食品野生きのこ(乾燥アンズタケ・ヤマドリダケ等)・ベリー類(ブルーベリージャム・乾燥ビルベリー等)
日本の規制一般食品:100 Bq/kg以下
汚染源チェルノブイリ原発事故(1986年)由来の長期残存汚染。欧州の一部地域では森林・野生植物に継続汚染
【実務上の注意】欧州産野生きのこ・ベリー類の輸入時は放射性物質の試験を実施する。2024〜2025年も検出事例あり。

🍄 カテゴリー2:カビ毒(マイコトキシン)

アフラトキシン(Aflatoxin B1・B2・G1・G2)

3,345件
カビ毒

主要輸出国アメリカ(1,617件・最多)・中国(633件)・インド(150件)・タイ(110件)・イタリア(89件)
主な食品種実類・ナッツ(1,596件):アーモンド272件・落花生300件+・ピスタチオ82件
穀類・豆類(1,022件):とうもろこし694件・ハトムギ154件
香辛料・ハーブ(319件):とうがらし・ナツメグ・ケツメイシ
日本の規制アフラトキシンB1として10 μg/kg超を含む食品は販売等禁止(食品衛生法第6条)
最大検出値1,657 μg/kg(基準値の約165倍)。中央値23 μg/kg
【重要】加熱・調理・精製では無毒化できない。アメリカ産ナッツ・穀物が全体最多という意外な事実。命令検査の約47%がアフラトキシン関連。偏在性があるため出荷前合格ロットでも到着後検出のケースあり。

🌿 カテゴリー3:農薬(残留農薬・ポジティブリスト違反)

クロルピリホス(Chlorpyrifos)

510件
有機リン系殺虫剤

主要輸出国中国(196件)・タイ(86件)・ガーナ(60件)・インド(36件)・台湾(24件)
主な食品冷凍ほうれんそう(55件)・生鮮カカオ豆(60件)・オオバコエンドロ(29件)・冷凍しゅんぎく(18件)・乾燥きくらげ(14件)
規制区分食品ごとに個別基準あり(食品衛生法ポジティブリスト)。基準未設定品は一律0.01 ppm
近年動向2023年に22件と再増加。ネオニコチノイドへの代替が進んでいるが、まだ検出される
【実務上の注意】中国産の冷凍葉物野菜(ほうれんそう・しゅんぎく)とタイ産ハーブ(コリアンダー系)で特に頻発。

チアメトキサム(Thiamethoxam)

173件
ネオニコチノイド系殺虫剤

主要輸出国中国(138件・80%)・ミャンマー(16件)・モザンビーク(10件)
主な食品生鮮・冷凍たまねぎ(88件)・緑豆(15件)・ゴマ(11件)・だいこん(10件)
近年動向2021年(18件)→2025年(24件)と増加中。2023〜2025年で残留農薬区分の最多物質(52件)
背景クロルピリホスの代替として普及。EUでは屋外使用制限があるが中国では継続使用
【現在進行形】中国産たまねぎのチアメトキサムが近年の最重要農薬問題。「クロルピリホス対策」だけでは不十分。

イミダクロプリド(Imidacloprid)

157件
ネオニコチノイド系殺虫剤

主要輸出国ガーナ(52件)・タンザニア(28件)・ブルキナファソ(20件)・ミャンマー(16件)・イラン(12件)
主な食品種実類・ナッツ(94件):ゴマ(タンザニア・ブルキナファソ・ミャンマー産)・カカオ豆(ガーナ産)
野菜(53件):各種農産物
特徴アフリカ産ゴマが主体。タンザニア・ブルキナファソ・モザンビーク等アフリカ多国からの輸入増加に伴い検出増
規制ゴマへの個別基準設定が遅れており、一律基準0.01 ppm適用のケースあり
【実務上の注意】アフリカ産ゴマのイミダクロプリド・チアメトキサム試験は必須。産地の農薬管理体制が整っていないケースが多い。

2,4-D(2,4-ジクロロフェノキシ酢酸)

461件
フェノキシ系除草剤

主要輸出国エクアドル(281件)・ベネズエラ(109件)・ガーナ(21件)・コートジボワール(14件)
主な食品生鮮カカオ豆(402件・87%)・カカオ豆・生鮮コーヒー豆(9件)・レンズ豆
発生背景カカオ農園の除草に使用された2,4-Dがカカオポッド・豆に移行・残留。カカオ産地の小規模農家での農薬管理問題
動向2006〜2021年に集中検出(2021年まで毎年記録)。その後は激減し2022〜2025年はほぼゼロ
【実務上の注意】南米・アフリカ産カカオ豆の2,4-D試験。輸出国の公的機関証明書があっても自主試験が推奨される。

メタミドホス(Methamidophos)

87件
有機リン系殺虫剤・毒性高

主要輸出国中国(34件)・メキシコ(23件)・台湾(9件)・ペルー(8件)
主な食品生鮮アボカド(17件・メキシコ産)・生鮮にんじん(14件)・乾燥白きくらげ(11件)・キノア(6件)
毒性有機リン系でも毒性が特に高い農薬。多くの国で使用制限が進んでいるが、一部国では使用継続
動向2006〜2011年に集中。近年は減少しているが2022年に5件の再検出あり
【実務上の注意】メキシコ産アボカドの有機リン系農薬スクリーニングに含める。

デルタメトリン・トラロメトリン(Deltamethrin)

50件
ピレスロイド系殺虫剤

主要輸出国ガーナ(21件)・アメリカ(13件)・フランス(6件)・台湾(2件)・フィリピン(2件)
主な食品生鮮カカオ豆(21件・ガーナ産)・ポップコーン(11件)・レンズ豆(5件)・バナナ(3件)
特徴ガーナ産カカオ豆での検出が多い。クロルピリホス・イミダクロプリドと並ぶカカオ豆の主要リスク農薬
【実務上の注意】ガーナ産カカオ豆はクロルピリホス・イミダクロプリド・デルタメトリンの3農薬を優先確認。

イマザリル(Imazalil)

31件
防カビ剤(ポストハーベスト)

主要輸出国チリ(7件)・アメリカ(6件)・オーストラリア(6件)・中国(4件)
主な食品生鮮レモン(13件)・生鮮グレープフルーツ(3件)・生鮮ライチ(3件)・生鮮マンゴスチン(2件)
規制の背景日本では指定添加物だが使用できる農産物・残留基準が定められており、対象外品目への使用は違反
【実務上の注意】チリ・米国・オーストラリア産かんきつ類のイマザリル残留確認。

💊 カテゴリー4:動物用医薬品(水産物・畜産物)

クロラムフェニコール(Chloramphenicol)

344件
抗生物質・使用禁止

主要輸出国ベトナム(306件・89%)・中国(26件)
主な食品水産物(249件):養殖エビ(冷凍むき身・えびフライ)・乾燥イカ・乾燥エビ
日本の規制食用水産物・畜産物への使用は一切認められていない。検出量にかかわらず即違反(不検出が要件)
動向2006〜2007年にピーク(186件)。2019年以降は年0〜2件まで激減
【重要】骨髄抑制(再生不良性貧血)リスクのある抗生物質。微量でも検出→即違反。ベトナム産エビ輸入時は不検出証明書が必須。

エンロフロキサシン(Enrofloxacin)

328件
フルオロキノロン系抗菌剤・使用禁止

主要輸出国ベトナム(227件・69%)・中国(80件)・台湾(8件)・韓国(5件)
主な食品水産物(259件):養殖エビ各種・乾燥イカ・養殖ウナギ。食肉(6件)
日本の規制食用水産物への使用は認められていない(指定外)。不検出が要件
近年動向2021年(6件)→2022年(16件)→2023年(10件)→2025年(2件)。継続検出中
【実務上の注意】クロラムフェニコールより近年まで検出が続いている。ベトナム産・中国産エビ・イカの試験パネルに必須。

フラゾリドン(Furazolidone)

252件
ニトロフラン系抗菌剤・使用禁止

主要輸出国ベトナム(89件)・インド(86件)・中国(46件)・インドネシア(15件)
主な食品水産物(196件):養殖エビ(バナメイエビ含む)・養殖ウナギ。食肉・食鳥(18件)
日本の規制食用動物・水産物への使用禁止。不検出が要件。発がん性が指摘されている
近年動向2022年に18件と再増加。インド産でも86件と多い点に注意
【重要】インド産エビ・食肉でのフラゾリドン検出(86件)は見落とされがち。ベトナムだけでなくインド産にも注意が必要。

マラカイトグリーン(Malachite Green)

82件
禁止物質(合成染料・抗カビ剤)

主要輸出国中国(73件・89%)・台湾(4件)・インド(2件)
主な食品水産物(58件):養殖ウナギ・ナマズ等の淡水魚。その他(24件)
日本の規制食用水産物への使用は一切認められていない。不検出が要件
動向2005〜2007年にピーク(55件)。現在は散発的だが2023年・2025年に各1件を検出
【実務上の注意】「昔の問題」ではなく現在も散発検出中。中国産ウナギ・淡水魚の試験項目に含める。

🧪 カテゴリー5:食品添加物(指定外・使用基準不適合)

TBHQ(tert-ブチルヒドロキノン)

482件
指定外添加物(酸化防止剤)

主要輸出国インド(90件・全体最多)・中国(77件)・ブラジル(66件)・アメリカ(34件)・タイ(21件)
主な食品菓子・加工食品(156件):スナック菓子・ビスケット・ウエハース
その他加工食品(206件):インスタント麺・レトルト・まぐろ油漬け缶詰・調理用ミックス
日本の規制日本では食品添加物として指定されていない(指定外)。微量でも検出→即違反
各国比較アメリカ・EU・Codexでは油脂類への使用が一定量許可されている
【重要】「海外規格証明書で合格」でも日本では違反。油脂を含む加工食品・スナック全般の原材料確認が必須。「酸化防止剤」の種類を必ず特定する。

サイクラミン酸(Cyclamate・チクロ)

493件
指定外添加物(甘味料)

主要輸出国中国(379件・77%)・台湾(54件)・ベトナム(40件)
主な食品漬け物・らっきょう・梅干し・ザーサイ、シロップ漬け果実、たこ焼き・マーボーソース、健康食品(21件)
日本の規制日本・アメリカでは使用禁止。EUでは一定量使用許可(E952)。中国・台湾でも一部食品に許可
近年動向2025年(14件)と2002〜2005年当時(57〜89件/年)と比べ減少したが、ゼロにならない慢性的問題
【実務上の注意】中国・台湾産の漬け物・甘味加工食品は要確認。日本の成分表に「甘味料(○○)」がある場合、その物質の日本指定状況を確認。

アゾルビン(Azorubine / E122)

230件
指定外添加物(赤色合成着色料)

主要輸出国フランス(54件)・ベルギー(23件)・イタリア(22件)・タイ(18件)・オランダ(13件)
主な食品菓子・加工食品(102件):チョコレート・グミ・ゼリー・タピオカ(色付き)・ビスケット
その他(110件):リキュール・ジュース・飲料
EU規制EUでは「E122」として承認。ただし一部食品では子どもへの影響の注意表示が義務(Southampton 6着色料)
日本の規制日本の指定添加物リストに収載なし(指定外)
【実務上の注意】欧州産のカラー菓子・リキュールに頻出。EU成分表の「E122」がアゾルビンに相当。着色料のE番号は個別に日本指定状況を確認する。

キノリンイエロー(Quinoline Yellow / E104)

75件
指定外添加物(黄色合成着色料)

主要輸出国フランス(24件)・イタリア(9件)・ベルギー(6件)・ドイツ(4件)・スペイン(4件)
主な食品菓子(39件):キャンディー・グミ・チョコレート・リキュール。その他(29件):飲料
EU規制EU承認(E104)。Southamptonスタディによる注意表示義務対象(子どもの過活動との関連)
【実務上の注意】EU成分表の「E104」がキノリンイエロー。欧州産の黄〜黄緑色着色菓子・飲料で頻出。

パテントブルーV(Patent Blue V / E131)

77件
指定外添加物(青色合成着色料)

主要輸出国フランス(27件)・イタリア(14件)・ベルギー(12件)・スペイン(8件)
主な食品菓子(45件):チョコレート・グミ・キャンディー(クリスマス向け商品に多い)。ジン・スピリッツ(27件)
見分け方EU成分表の「E131」がパテントブルーV。青〜青紫色の着色食品に使用される
【実務上の注意】EU産スピリッツ(ジン)・青紫系カラー菓子に頻出。季節商品(クリスマス・イースター向け)でまとめて違反が発見されるケースあり。

アルミノケイ酸ナトリウム(Sodium Aluminosilicate / E554)

15件
指定外添加物(固結防止剤)

主要輸出国台湾(10件)・タイ(3件)
主な食品粉末ミルクティー(抹茶・ちんじゅ系)・スープパウダー・カップパスタ付属調味料
用途粉末食品の固結防止剤。EUでは「E554」として承認。日本では指定外
【実務上の注意】台湾産の粉末ミルクティー・抹茶パウダー商品は固結防止剤の種類を必ず確認する。

一酸化炭素(CO:Carbon Monoxide)

24件
指定外添加物(発色目的)

主要輸出国中国(6件)・インドネシア(5件)・マルタ(3件)・台湾(2件)・フィリピン(2件)
主な食品冷凍まぐろ(柵・ロイン・加熱加工用)・冷凍ブリフィレ・冷凍イズミダイ切り身
用途・問題鮮度を保持しつつ見た目(赤み)を維持する目的でCO処理が行われる。日本では食品への一酸化炭素添加は認められていない
【実務上の注意】冷凍まぐろ・大型魚フィレの鮮度・色調が不自然な場合はCO処理の可能性を確認する。

メラミン(Melamine)

18件
指定外添加物(たんぱく質偽装目的等)

主要輸出国中国(16件・89%)・マレーシア(2件)
主な食品冷凍たこやき(9件)・冷凍ピザ生地・冷凍パン生地・ケーキ・チーズクラッカー(2008〜2009年に集中)
背景2008年中国産乳製品へのメラミン混入事件の余波で食品全般に検査が広がった。現在は1件(2024年)のみ
【実務上の注意】現在は散発的だが過去の経緯から中国産食品の一部にはメラミン試験を実施するケースあり。

ホウ酸(Boric Acid / Borax)

14件
指定外添加物(保存・防カビ)

主要輸出国フランス(3件)・ドイツ(2件)・ポーランド・イギリス・ロシア
主な食品健康食品・ミネラルサプリメント(栄養補助食品として添加)
規制日本では食品添加物として指定なし。欧州サプリメントで微量添加されるケースがある

二酸化硫黄(Sulfur Dioxide)・亜硫酸塩類

1,021件
使用基準不適合(漂白・防腐・酸化防止剤)

主要輸出国中国(460件・45%)・タイ(63件)・ベトナム(55件)・アメリカ(38件)・フィリピン(37件)
主な食品乾燥あんず(20件)・乾燥かんぴょう(12件)・乾燥しいたけ(10件)・乾燥やまくらげ(10件)・塩蔵たけのこ・塩蔵くらげ・ゆでだこ・水煮あわび・乾燥ぶどう・陳皮
違反パターン①使用基準超過(基準値を超えた量の使用)②対象外使用(使用が認められていない食品への添加)
日本の規制指定添加物だが食品ごとに上限値が異なる(乾燥あんず2.0 g/kg以下等)。対象外食品への使用は違反
【実務上の注意】中国産乾燥食材(乾燥きのこ・乾燥野菜・乾燥果実・海産乾物)は二酸化硫黄の残留量試験が実務標準。残留量は乾燥による濃縮に注意。

ソルビン酸・ソルビン酸カリウム(Sorbic Acid)

523件
使用基準不適合(防腐剤)

主要輸出国中国(103件)・イタリア(51件)・アメリカ(51件)・ベトナム(36件)・韓国(29件)・フランス(27件)
主な食品乾燥すもも・ケチャップ・ワイン・チリソース・冷凍パン半製品・マヨネーズ・菓子類・乾燥果実
違反パターン対象外使用(282件):使用が認められていない食品への添加が最多
基準値超過(366件):許容量を超えた使用
注意点日本でも指定添加物だが食品区分ごとに使用上限が細かく規定。チーズ3.0g/kg・ケチャップ1.0g/kg等
【実務上の注意】「ソルビン酸が入っているから必ず違反」ではなく、食品区分×使用量が問題。対象外使用が半数以上を占める点に注意。

安息香酸・安息香酸ナトリウム(Benzoic Acid)

339件
使用基準不適合(防腐剤)

主要輸出国中国(55件)・アメリカ(50件)・ベトナム(33件)・タイ(31件)・ネパール(21件)
主な食品醤油・オイスターソース・チリソース(対象外使用)・ライムピクルス・アンチョビペースト・春巻き(調味料中含有)・健康食品(37件)
規制の問題点日本では清涼飲料水・シロップ・マーガリン等に限定。醤油・ソース・漬け物への使用は対象外。アジア諸国ではこれらへの使用を認めているケースが多い
【実務上の注意】アジア産の調味料(醤油・チリソース・オイスターソース)は安息香酸の有無を確認する。ネパール産のピクルス・チリソースで継続検出。

アセスルファムカリウム(Acesulfame K / E950)

57件
使用基準不適合(甘味料)

主要輸出国台湾(23件)・ベトナム(10件)・中国(9件)・オランダ(5件)
主な食品台湾産シロップ(ブラウンシュガーシロップ・マンゴーシロップ・パッションフルーツシロップ)・ミントタブレット菓子(FRISK BERRY)
規制日本では指定添加物だが使用できる食品の範囲・上限量が規定。シロップへの過剰使用や対象外使用が多い
【実務上の注意】タピオカ・バブルティー向け台湾産シロップ類で頻出。輸入拡大している品目。

スクラロース(Sucralose)

26件
使用基準不適合(甘味料)

主要輸出国中国(17件)・台湾(3件)・イスラエル(2件)
主な食品漬け物(甘酢生姜・梅干し・たくあん・しょうゆ漬け野菜)・調味料
規制日本では指定添加物だが食品区分ごとに使用上限あり。漬け物への過剰使用・対象外使用が問題
【実務上の注意】中国産漬け物・梅干し類の甘味料確認項目に含める。

過酸化水素(Hydrogen Peroxide)

24件
使用基準不適合(漂白・殺菌)

主要輸出国中国(8件)・ベトナム(4件)・インドネシア(4件)
主な食品ゼラチン・ナタデコシロップ漬け・フカヒレ・サメの骨・タコスライス(冷凍すしだこ)
規制指定添加物だが最終食品に残存してはならない(加工助剤として分解が前提)。残存が確認された時点で違反

⚗️ カテゴリー6:天然毒素・重金属

シアン化合物(青酸配糖体)

361件
天然毒素

主要輸出国イタリア(52件・杏仁/アマレッティ)・ブラジル(31件・キャッサバ)・ミャンマー(30件・バター豆)・インドネシア(21件・キャッサバ)・中国(21件)
主な食品・検出値バター豆/ライマ豆:62〜610 ppm(ミャンマー産)
亜麻の種子(アマニ):11〜266 mg/kg(多国)
キャッサバ・キャッサバ加工品:11〜270 mg/kg(ブラジル・インドネシア・タイ等)
杏仁・アマレッティ:最大1,900 mg/kg(イタリア産生鮮杏の種子)
フランス産マカロン:13〜65 mg/kg(20件すべて)
「天然由来」でも違反有機認証品・伝統食品(アマレッティ・ファロッファ)でも検出事例多数。加熱・加工で低減するが完全除去は困難
近年動向2021〜2025年も毎年11〜19件。慢性的な問題として継続
【実務上の注意】亜麻の種子含有グラノーラ・ミューズリー・健康食品でも副原料として混入するケースに注意。

カドミウム(Cadmium)

117件
重金属(主に器具容器包装)

内訳器具容器包装(89件・76%):ホウロウ引き製品・陶磁器・ガラス容器
食品系(28件):健康食品原料・食品接触プラスチック部品等
主要輸出国中国(45件)・ベトナム(12件)・インドネシア(7件)・フランス(7件)・台湾(6件)
日本の規制器具容器包装の材質規格(溶出試験)。食品用陶磁器・ホウロウ製品のカドミウム溶出基準あり
【注意】カドミウムの主体は食品ではなく器具容器包装(陶磁器・ホウロウ食器等)。食品と器具を同時輸入する場合は両方の規格確認が必要。

鉛(Lead)

342件
重金属(器具容器包装・食品)

内訳器具容器包装(228件・67%):陶磁器・ホウロウ・ポリプロピレン製品
食品系(84件):ポリプロピレン製米袋(22件)・とうもろこし粉・食品添加物原料
主要輸出国中国(149件)・ウズベキスタン(36件・2025年急増)・台湾(21件)・フランス(18件)
2025年注目2025年にウズベキスタン産陶器食器からの鉛検出が急増(40件)。新興輸出国の器具リスク
【実務上の注意】ポリプロピレン製米保存袋(ウズベキスタン産22件)など食品容器・包装材の鉛規格確認。2025年の急増に要注意。

辞典の使い方:実務への活かし方

この辞典は輸入品目の検討・試験設計・サプライヤーへの要求仕様策定に活用できます。

  • 輸入先の国が決まったら:当該国が上位に挙がっている物質を優先試験項目に設定する(例:ベトナム産エビ→エンロフロキサシン・フラゾリドン・クロラムフェニコール)
  • 食品カテゴリーが決まったら:その食品グループで多い物質を試験パネルに含める(例:欧州産菓子→アゾルビン・キノリンイエロー・パテントブルーV・TBHQのE番号確認)
  • 新規サプライヤーと取引開始時:「指定外添加物」「使用禁止の動物用医薬品」については、輸出国の規制と日本の規制の差異を文書化してサプライヤーに提示する
  • 命令検査対象の最新情報:厚労省「輸入食品に対する検査命令の実施」を参照し、この辞典の物質が命令検査対象になっているか確認する

全体のデータがわかった。では自分の案件はどう位置づけられるか。

自分が輸入する国・品目が、違反データの中で
どう位置づけられるか確認できます。

23年分のデータと照らし合わせながら、自分の輸入条件のリスクを整理します。
資料は揃っていなくても構いません。

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【データ出典・参考情報】
・厚生労働省「輸入食品の違反事例」(平成14年〜令和7年)
・厚労省「食品添加物の指定等に関する指針」・指定添加物リスト
・厚労省「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年厚生省告示第370号)
・厚労省「農薬等のポジティブリスト制度」
・厚労省「輸入食品に対する検査命令の実施」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/yunyu_kanshi/index.html
※本辞典の件数はすべて上記データの集計値です。規制基準・指定状況は随時改訂されるため、最新情報は厚労省公式サイトをご確認ください。
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